やりがいのある仕事とは

介護職は苦労があるからこそやりがいも大きい

22 11月

介護職の苦労とやりがい

Posted in on 22.11.15

8年間の教員生活に幕を下ろしたのは、母の言葉がきっかけだった。ある日母が家で倒れたとき、私は何もできなかった。母はそれから数日間、寝たきりの生活を続ける。そんなときに、母がぼそっと「あんたも介護ができればねぇ」と呟いた。私はその言葉を聞き、介護業界へと転職を決めた。
私は無事に有料老人ホームに転職したものの、そこでは苦労の連続だった。今までは教師として生徒に教える側だったが、介護業界はずぶの素人だったため、一から教えてもらう必要がある。先輩からの丁寧な指導を受けた後、いざ意気揚々と現場に出てみると、教科書通りに事が運ばない。介護業界は思ったよりも大変だ。
高齢者の介護をやっていて一番苦労したのは、入浴介助。最初のころは、お湯加減や力加減がわからずに失敗することも多かった。私は熱いお湯が大好きなため、ちょっとぬるいかな?と思った温度でも入居者に熱いと言われることがある。今では、「気持ちの良いお湯加減だね」と言われるまでに成長した。職業病からか、プライベートでも誰が見てもぬるいと言うくらいの温度のお湯に浸かるようになった。また、身体を洗うときも、力を入れすぎて入居者に「痛い」と言われてしまった。先輩に、「ゴシゴシしすぎると、痛いだけじゃなくて皮膚の表面に付着している『表皮ブドウ球菌』も取れてしまってダメなのよ。だから優しく撫でるようにしなさい」とアドバイスを貰った。それからというもの、私は猫を撫でるよりも優しい力で、丁寧に入居者の体を洗うようにしている。「痛い」と言われることもなくなった。妻と一緒に風呂に入って背中を流しているときも、「あら、背中流すの上手くなったじゃない」と太鼓判を押されるまでになった。
介護職は苦労することが多いが、その分やりがいも多い。私は、そのやりがいを感じたいがために介護職を続けているのだろう。母のちょっとした呟きが、ようやく実を結んできた。介護職には、苦労がつきもののようだ。〈http://hardships-care.net

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